Menu
 > 作品
 > ヒ行
 > 評決のとき
 > ころりさんさんのレビュー
評決のとき のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 評決のとき
製作国
上映時間150分
劇場公開日 1996-12-28
ジャンルドラマ,サスペンス,法廷もの,ミステリー,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 今見ると、テーマの重さ(人種差別に性暴力も絡んだ「報復殺人」を問う)と演出・演技の軽さのアンバランスが1990年代的で、ジョエル・シューマッカー的な一作。大抜擢といっていいマシュー・マコノヒーはがんばっていましたが、時折、後の「ロマコメ王」を予感させる軽妙さが映画としての「格」を確実に下げてしまっていたのは残念。サンドラ・ブロックとの絡みのシーンなんて、そこだけ別の映画のような変な「予感」に満ちてました。

それでも、一般向けの作品でこれだけクー・クラックス・クラン(KKK)の悪行の数々が描かれるのはある意味貴重です。一人の黒人を死刑にするために、暴行や脅迫はもちろん、放火・誘拐とやりたい放題で、正直「そこまでするか」とリアリティを感じない人もいるかもしれませんが、これは決してフィクションであるわけではなく、20世紀のある時代までは南部では当たり前の光景だったといえます。その文脈があるからこそ、サミュエル・L・ジャクソン演じるカール・リーの悲壮な決意も、ラストの陪審員を翻意させた演説にも意味があるので、ここを法律論でアレコレ言うのはやや筋違いかなと感じます。法廷劇といっても、ここで戦っているのは高度な法律論というよりも、南部社会と人種問題、どうすんの、これでいいの、という問いなわけです。ただ、サンドラ・ブロックが死刑反対論者だったのは全く活きてないので、これは大きなマイナス。南部の人種差別と死刑の問題は、マイケル・B・ジョーダンの『黒い司法』という佳作があるので、ぜひそちらを見てほしいです。

何はともあれ、ハードな人種差別とロマコメ風バディ劇と緩めの法廷劇を折り重ねた、不思議な風味の作品。同じ系統のものを「いま」作るのは難しいでしょうということで、貴重な作品です。配信などで見られるうちにぜひ見てほしいです。
ころりさんさん [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-02 21:50:29)
その他情報
作品のレビュー数 123件
作品の平均点 6.97点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
321.63%
421.63%
51310.57%
62822.76%
73326.83%
83125.20%
997.32%
1054.07%
作品の標準偏差 1.40
このレビューの偏差値 45.08
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
評決のときのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS