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《ネタバレ》 東京裁判の前哨ともなったニュールンベルグ裁判を、ダン判事の視点で回想する3時間。長めの上映時間にもかかわらず、戦前、戦時中、戦後のドイツの苦悩を描いた傑作であろう。しかし私は見終わった後、少なからず当時のドイツ国民に対して同情心を抱いてしまった(かといって、決して私はナチス指示派ではないが)。第二次大戦前のドイツでは失業者が激増してるなか、屈折した理論ではあるが(ゲルマン優先、ユダヤ排斥)労働者の救済に活路を見出したのがA・ヒトラーだった。表では労働者の救済、裏ではゲシュタポを利用して恐怖政治をおこなう2つの顔を持つ独裁者。劇中、内情をダン判事の伝えれないドイツ民が出て来る。これはきっと、労働者救済は仮の姿であることがわかり、「第三帝国の設立を目論んでいた」真実のヒトラーを知った絶望感と、自責の念が集約されているように見える。しかし私はその否定が肯定を生み「虐殺の事実は知っていました」と思えて仕方なかった。良心との呵責に悩まされながら、ドイツ国民はヒトラー政権下にいたのだろうと思う。ただひとつこの映画で残念なのは、この裁判が国際法では未確立なものであるという論議が、後半僅かにしか語られなかったことである。戦勝国が起訴した裁判映画を、戦勝国が再現したということで、後々法学界で議論され非難される点が希薄だったのが残念であった。
【C・C・バクスター】さん 9点(2004-06-28 15:43:50)
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