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《ネタバレ》 チャップリン映画の転回点、もしくは分岐点の映画だと思います。まず、チャップリンのトレードマークである、山高帽とドタ靴、窮屈な上着にステッキ姿は、この映画で完全に姿を消します。そして、サイレントを頑なに守り続けたチャップリンは、この映画でとうとう声を出すのです。1930年代、映画が急激に変わっていくのに対応できず、多くの映画人が去る中で、それでも10年ほど健闘してきたチャップリンが初めて作ったトーキーは、トーキーに屈するどころか、正面から闘いを挑んだ意欲作です。トーキーの象徴の機械を相手に、無声のまま痛快なバトルを繰り広げ、最後にどこの言葉でもない(インチキスペイン語っぽいけど)歌と、おなじみのパントマイムでトーキーデビューを果たしたのです。そして、映画の中身はボードビル出身の芸人、チャップリンの至芸が散りばめられていて飽きさせません。ローラースケートはメチャ上手いし、建てたんじゃなく、見つけた(!)壊れまくりのボロ家もいいし、川へのダイビングは見ているこっちがイタタタ・・・。チェスター・コンクリン演じる親方とのコントはもっと見たかったくらい。あと、カフェのロースト・ダックのおじさんは、気の毒で笑わせてもらいました。料理を落とさずに、ホールを回り続ける芸も秀逸。ヒロイン役のポーレット・ゴダードは野性的な強い目が、印象的でした。そしてラスト、山高帽のチャップリンが遠くなっていく姿に、元気を分けてもらい、淋しさを感じました。この2人はこの先、何があっても、笑い飛ばして歩いていってほしいし、きっとそうするんだろうと思いました。
【くなくな】さん [DVD(字幕)] 9点(2004-06-27 22:48:12)(良:2票)
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