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吉田満『戦艦大和ノ最期』を、ただ、淡々と、訥々と辿った作品でした。・・・・・・・・前半から中盤にかけては、沖縄特攻までの間の乗員の会話、人間模様を描写し、後半は、乗員それぞれ、特に学徒動員で下士官となったものたちが、どのように死んでいったかが描かれています。・・・・・・すでに50年以上も前の作品ですから、戦闘シーンも沈没シーンも、もちろん非常に貧相です。・・・・女優たちとの涙の別離のシーンも殆どありません。辺見じゅんが高く評価した臼淵大尉の発言も、比較的軽く扱われ、「敗れて目覚める。それ以外にどうして日本が救われるか。今目覚めずしていつ救われるか。俺たちはその先導になるのだ。日本の新生に先駆けて散る」というあの発言も「まあいいじゃないか」くらいになってしまっています。・・・・・・全体として、感動的なところはないといって良いでしょう。しかし、そこがこの作品の良いところだと私は思います。・・・・・・戦争映画について、感動して涙を流すとき、その涙は、死者をたたえ、その死に意味があったこと、そしてその記憶を永遠化することを促しますが、それは実は、戦争を肯定し賛美することにつながると思われるからです。
【王の七つの森】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-04-30 11:08:23)
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