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《ネタバレ》 子どもたちが殺し合う映画を、映像芸術のためという美名のもとにつくって良いのか、という問題は確かにあります。それは許されない、という立場に立つ場合は、この映画は、評価する云々の前に犯罪です。・・・・・・ただ、僕は、とりあえず、この映画は、犯罪までには至っておらず、映画として通用する、と考えることにします。というのも、この映画では性描写が殆ど排除されているからです。本当にこういう状況になったら、極端な性行動に走る若者がでてくる筈で、それがこの映画で殆ど排除されているということは製作者が、この状況設定の仮想性を強く意識しているとことを示唆しているでしょう。・・・・・・この映画が非常に素晴らしいと思ったのは、次の三点。・・・・・・1. 僕たちが経験したことのない、友敵という関係のあり方を見事に描いたこと。友敵というのは、C・シュミットの表現であり、政治的なものの本質であり、戦争の闘争状況の中で出現するもの。・・・・こういう状況は、平穏な生活を送る僕たちの日常からは、唾棄すべきものですが、それを敢えて直視する勇気を持たねば、その状況に至る危険性を回避することはできないと思います。・・・・・2. そうした友敵の闘争状況が、聖なる空間との関わりを持っていることを意識した映像となっていること。・・・・ここには日常の生活からは想像することができない、「世界そのもの」を感じさせてくれるものがあります。日本人が昔から、コントロールできない「カミ」として恐れてきたような世界です。・・だから僕たちは、「世界そのもの」「聖なるもの」は映画の世界くらいにしてに本当に近づこうとしてはならないのだ。でないと麻原みたくなってしまうのだ。・・・・・・3. 山本太郎が最後に放つ二発の銃声、、、、これはHANABIのラストではないですか。深作監督は、HANABIのラストは、空砲だったと、敢えて、解釈したに違いない。生に対しての何という肯定。・・・ここのあたりから、実は僕は、もう感動の涙を押しとどめることはできなかった。・・・・・死を意識させられてはじめて人間は生を強く求めるようになる。深作監督は、死を前にほぼ最後となる自分の映画を撮り、自分の死を晒すことで、見る人々に、より強く生を求めさせようとしたのだ、と僕は思う。
【王の七つの森】さん [DVD(邦画)] 10点(2006-05-07 14:43:22)(良:2票)
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