Menu
 > 作品
 > ホ行
 > 墨攻
 > ザ・チャンバラさんのレビュー
墨攻 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 墨攻
製作国中,日,香,韓
上映時間133分
ジャンルアクション,ドラマ,歴史もの,小説の映画化,漫画の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 原作未読の私にも、要約に苦労したことがよくわかる出来となっています。敵意むき出しだった王子が革離に傾注したり、革離暗殺を命じられた農民たちが革離に信頼を寄せるまでの過程がスッポリと抜けていたりと、唐突な展開が多々見られます。一方で荒っぽい要約が吉と出ている部分もあって、前半、革離が次々と知略を披露して敵を撃退する様は、矢継ぎ早な展開のおかげで彼が戦略家として際立った人物であることを強く印象付けます。アンディ・ラウは革離役に抜群にハマっており、ただ理屈を述べるだけではなく、人々を引きつけるカリスマ性も兼ね備えた人物にきちんと見えます。対するアン・ソンギもアンディ・ラウにまったく見劣りしない悪役となっています。弱小の梁国相手に負けを重ねるという下手すれば無能に見えかねない役柄であったにも関わらず、知性と人間性を併せ持った名将に見えるのですから、この役柄を脚本以上の人物にしてみせたと評価できます。後半は革離の影響力を恐れた梁王一派が粛清をはじめるという興味深い展開を迎えるものの、ここで映画はいったん失速します。基本的に本作はアンディ・ラウとアン・ソンギが引っ張っているため、ふたりが不在となるこの部分が致命的につまらないのです。脚本レベルでは人間の普遍的な残虐性や愚かさを提示しようとしたと思われるこのパートも、良い役者が不在であったり展開に深みがないため、梁王をはじめとした本作固有の登場人物がただ暴走しただけにしか見えません。王子を失った梁王の悲しみや怒り、また革離を排除せよとの命令にいったんは反対するものの、梁王への忠義からその先頭に立つこととなる将軍の葛藤など描くべきものは多くあったにも関わらず、お手軽なドラマ作りのために残虐な処刑等で不快な気持ちにさせられるのみです。しかし、アンディ・ラウとアン・ソンギが戻ってくると映画は再び息を吹き返します。どんな戦闘シーンよりも彼らのやりとりは見ごたえがありました。また、梁王によって反乱軍と見なされ、いったんは国を離れた部隊が趙軍を撃退するのですが、解放された民衆は過ちを犯した梁王を再び担いでしまうという皮肉な展開をとってみせたことには驚かされました。逸越をニアミスで殺してみせたり、民衆の愚かさにさすがに愛想尽かし孤児を連れて梁を後にする革離等、見る側に考えさせるバッドエンドは満点の締めだったと思います。
ザ・チャンバラさん [DVD(吹替)] 7点(2009-06-16 22:39:11)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 50件
作品の平均点 5.98点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
3510.00%
412.00%
51224.00%
61428.00%
71122.00%
848.00%
936.00%
1000.00%
作品の標準偏差 1.52
このレビューの偏差値 54.44
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
墨攻のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS