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キック・オーバー のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 キック・オーバー
製作国
上映時間95分
劇場公開日 2012-10-13
ジャンルアクション,刑務所もの,犯罪もの
レビュー情報
“Gringo”とはヒスパニックの人々がアメリカ人を指して使う言葉であり、原題は「そのアメリカ人を捕まえろ」という意味です。このタイトルが示す通り、舞台はアメリカではなくメキシコ。メキシコの巨大刑務所に収監されたアメリカ人犯罪者がサバイバルのために立ち回っているうちに、2大マフィア間の抗争の中心人物になっていくという、クライムアクションとしてはありがちなお話です。ただし、オスカー監督であるメル・ギブソンが脚本を書き、恐らくは実質的な監督権をも掌握して製作された作品だけあって(クレジット上の監督であるエイドリアン・グランバーグは『アポカリプト』で助監督を務めた人物であり、組合の規定によって本作の監督にクレジットされたと思われます)、過去の類似作よりも頭一つ抜きん出た仕上がりとなっています。雑多な登場人物が入り乱れる複雑な内容でありながら、脚本の交通整理が抜群にうまいので大きな混乱をもたらしていないし、グロとユーモアと男らしさのブレンドも絶妙なサジ加減となっています。また、見せ場の数は多くないものの、ひとつひとつの見せ場は面白く作りこまれており、しっかりとした基礎を持つ製作チームならではの安定した仕事が作品のクォリティに大きく貢献しています。さらには、精神疾患を患い、ほとんど引退状態にあったメル・ギブソンが依然としてスターオーラを維持しており、気の良い犯罪者にピタリとハマっています。すべての要素において破綻がなく、完成度の高い作品であると感じました。。。
そして、本作がもっとも光っていたのは、悪名高きエル・プエブリートを舞台として設定したこと。エル・プエブリートとはメキシコに実在した刑務所であり、内部では犯罪者が家族と同居し、自由な商業活動までが行われていました(通常の商店のみならず、麻薬や売春関係も堂々と営業していたとか)。刑務所内での待遇は金で買うことが可能であり、さらには犯罪者同士の殺し合いも日常の光景だったようで、これはもはや現実世界の『ニューヨーク1997』。2002年に刑務所の破棄が決定した際には軍隊までが動員されたという、まさに悪の巣窟だった場所です。こんな場所が今の今まで映画のネタにされていなかったことが驚きですが、本作ではエル・プエブリートが影の主役としての機能を果たしています。とにかく、このありえない環境が面白すぎるのです。
ザ・チャンバラさん [DVD(吹替)] 7点(2013-02-15 13:39:53)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 14件
作品の平均点 6.71点
作品の点数分布
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517.14%
6535.71%
7642.86%
817.14%
917.14%
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作品の標準偏差 0.96
このレビューの偏差値 53.11
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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