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時計じかけのオレンジ のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 時計じかけのオレンジ
製作国
上映時間136分
劇場公開日 1972-04-29
ジャンルドラマ,SF,犯罪もの,音楽もの,小説の映画化,バイオレンス
レビュー情報
《ネタバレ》 暴力がはびこる社会と、政府が人間性まで管理することで秩序が保たれる社会、一体どちらが良いのか?前半に繰り広げる残虐行為の数々は群を抜いていますが、血が飛び散るような映像的なショックではなく、クラシックに乗せての暴力や「雨に唄えば」等、キューブリックの並外れたセンスによりこれらが表現されます。アレックスの設定についても光っており、恵まれた家庭環境に育ち、両親に対しては良い子の振る舞いをするし、学校の成績が悪いわけでもない。満たされないがゆえの犯罪ではなく、ただ好きで暴力の世界にいるという、ある意味では真の悪人と言えるでしょう。息子が夜出歩いていることに関心を示さない両親の姿を見ると、アレックスがその衝動を抑えることなく暴力をまき散らしている原因がどこにあるのかは察しがつきます。そんなアレックスが後半ついに報いを受けることとなりますが、ここで映画はふたつの疑問を投げかけます。「洗脳により無害になることが、罪の償いといえるのか?」「政府が人の思考をいじってもいいのか?」。前者については、無害化すれば人殺しでも社会に戻ってもいいというやり方は違わないか?他人や社会に対して罪を犯した以上は、いかに更生・反省しようがそれに見合った苦痛や不利益を受けるべきではないか?というものです。人間とは機械のように合理的に物事を捉えることができず、「不合理であっても犯罪者には報いを受けてもらいたい」という復讐感情が常にあります。日本で少年法が問題になる理由はこれで、道を誤った少年を更生させて社会に復帰させることが少年法の精神ですが、「罪の報いを受けさせる」という点がスッポリと抜けたこの法律に、多くの人が気持ち悪さを感じています。アレックスの世界の政府は日本の少年法と同じ理屈で犯罪者を処理し、空きのできた刑務所には、永久に社会に戻ってきて欲しくない政治犯をブチ込むという計画です。このように国民の行動をコントロールしようとする政府にロクなものはないということが後者です。無害になったアレックスは、被害者や社会による暴力を受けます。結局人間の本質は暴力的であり、社会から暴力性を排除するということをつきつめると、全員を洗脳するしかなくなります。そんな社会が良いのだろうか?アレックスが公衆の面前で暴力を受け、また女性の裸を見せられるという異様な光景で、キューブリックはその薄気味悪さを印象的に表現します。
ザ・チャンバラさん [DVD(字幕)] 7点(2009-06-19 21:02:38)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 553件
作品の平均点 7.53点
作品の点数分布
0152.71%
1101.81%
261.08%
3152.71%
4183.25%
5417.41%
6417.41%
76912.48%
89717.54%
99417.00%
1014726.58%
作品の標準偏差 2.51
このレビューの偏差値 49.16
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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