| 作品情報
レビュー情報
中年タクシードライバーと、92歳になる女性。「ドライビング・ミス・デイジー」を思い出す作品の始まりですが、
こちらは住み慣れた自宅を離れ、パリの反対側にある介護施設に向かう1日の中に彼女のこれまでの人生を織り交ぜるドラマ。 けんか腰の出会いから、あっという間に打ち解ける最初の10分か15分程度。 その時間の使い方と、そうなるのも当然と思える女性の人となり、演じるリーヌ・ルノーさんがあまりにも素晴らしい。 気が付けば後部座席ではなく助手席に座って車内で語らい、パリで過ごした人生の思い出の場所に立ち寄る2人の姿と、 そこに挿入される彼女の人生の回想のドラマの配分、そのゆったりとした90分の作品のテンポが実にいい。 どこそこへ立ち寄って、という彼女の要望に、ドライバーは「遠回りになってしまうよ」と最初は不満を口にするが、 「長い人生の中のたかだか10分程度のことよ」 「ひとつの怒りでひとつ老い、ひとつの笑顔でひとつ若返るのよ」 これからも時々思い出したいと思える、彼女が発する何気ない一言が良かったな。 車窓を流れる風景に2人の立ち寄り先。パリの街並みや挿入される音楽も素敵な、愛すべき小品でした。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2025-06-29 12:20:02)《新規》
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |