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この映画、ストーリー自体はよくありがちでテンポも悪く、一見ダルい映画のようだが、この映画の面白い所は、シャンドライの揺れ動く心を音楽によって代弁したところにあると思った。初めはアフリカの音楽ばかり聴いていてキンスキーの音楽には理解を示さないのだが、次第にキンスキーに打ち解けていくにつれてキンスキーの音楽を好きになっていく…。キンスキーのピアノの音楽が激しく鳴り響く時はシャンドライも激しく悩んでいる時であり、シャンドライがアフリカの音楽を聴いている時は、キンスキーに魅かれつつある自分を諫めながら、アフリカにいる夫のことを思い出している時。例えばこういったシーンにあるように、シャンドライの微妙な心境をアフリカ音楽とクラシックのピアノ音楽といったある種対照的な二つの音楽を絡めることで表現する、というところに今までにない新しさを感じた。そして、ラストの終わり方も、「心を音楽で表現する」という非常に繊細で微妙なこの映画に見合った、非常に繊細な終わり方で、観終わった後になんとも言えない余韻を残す、とてもいい終わり方だった。
【デューク】さん 9点(2004-08-08 18:17:44)
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