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《ネタバレ》 ドキュメンタリー的な部分と、ドラマ部分(どうしても、劇映画としてまとめるために取ってつけた印象…)が噛みあわない気がするのは、これ以降の是枝監督作品と同様。けれど、この映画では「生前で一番の思い出を選んで下さい」と言うモチーフ、問いかけが、ドキュメンタリーのインタビュー形式とぴったり合っていて、自然に引き込まれました。是枝監督の作品では未だに一番好きな映画です。他者の思い出を再現する為にアレコレと工夫し、議論する「現場」の描写は、映画の撮影現場の暗喩を越えて「働く」ことや「暮らすこと」そのものにも思えます。「俺たち何の為にこんなこと~」ボヤく寺島進をはじめ、それぞれ内心で自問自答を繰り返す登場人物達が、みんな印象的でした。「胎児の頃の記憶が残っているケースもある」と言う雑談を聞いたあと、無愛想な小田エリカが風呂に潜る一連のシーンが好きです。選べなかった(見つからなかった?)大事な記憶を探そうとする姿に、つい感情移入…。ARATAの役職を引き継いだ、ラストでの小さな変化が、希望を感じさせます。(記憶、定かでないものを捉まえようとするモチーフには何故か弱いようで…)正直、クセが強い映画ですが、一度入り込めば、観るたびに映画の中の小ネタや自分の印象の変化を発見出来る面白さがあると思います。ARATAはじめ、役者陣も力みがなくて良かった。ざらついた建物の質感、空気が張りつめた冬の情景がキレイでした。静かで、不思議に明るい音楽もヨカッタです。
【i-loop】さん 8点(2004-09-18 02:29:50)(良:1票)
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