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《ネタバレ》 主演の樹木希林と永瀬正敏の名演技が印象に残る作品。
特に樹木希林演じる徳江さんの台詞は、完全に樹木希林さんの「間」になっており、特別なディレクションは不要だったのではと思えるくらい自然な演技で、もはや他の俳優の追従を許さない域に達していると思われる。 わが国におけるハンセン病の隔離(差別)政策が、結果的には大きな誤りであったことは今日では周知の事実だが、それがどれほど人間の尊厳を奪ってきたか…。今後当事者がいなくなるにつれ、その社会認識が次第に薄れていくだろうことを考えると、本作が製作された意義は決して小さくない。 愛する家族とわけのわからないまま引き離され、子どもを授かっても産むことが許されず、人生のほぼ大半を社会と隔てられた施設で過ごさなければならなかった不条理は決して繰り返されてはならないが、だからといって、それらの人々が弱く哀れむべき存在であったかは別であることを、本作の徳江さんが示している。 「どら春」の常連女子中学生達のぼやきに「自由に生きればいいんだよ」と明るく諭す徳江さんに救われた気がするのは、決して私だけではないだろう。 【田吾作】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2023-04-13 10:40:56)
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