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《ネタバレ》 米軍兵士とイラク兵のスナイパーが崩れかけの壁を隔てて対峙する戦争サスペンス、という事前知識のみで鑑賞したが、なかなかどうして最後まで飽きずに観せる展開だった。
画面に登場する人物は(最後の救出シークエンスを除いては)米兵の2人のみ、という徹底ぶりで、プロットや展開の工夫によっては、それだけで90分のドラマを成立させることができるのかと感心した。 そもそも数百メートル先で動く兵士の「膝」や「水筒」まで正確に狙い撃てるスナイパーが、実際に存在しうるのかは甚だ疑問ではあるが、それを受け入れなければ本作は成立しないだろう。 本作のクライマックスで、スナイパーがなぜ「そこ」を狙ったのか、なぜ無線で米兵「自身」のこと聞き出そうとしたのか、その理由が(すなわち「ザ・ウォール」は「ザ・トラップ」だったと)分かるくだりがあるが、背筋が寒くなるような怖さを感じた。 また、米兵が被弾するシーンでは、まず弾が先に身体に当たり、少し遅れてから乾いた銃声が聞こえるという「当たり前」をきちんと再現していた。 そして終盤、スナイパーが自分の出自を告白したり、この壁が何の建物の一部だったかが語られるシーンがあるが、戦争という営みが、まともな人間を狂気に変えるという、まさに「プライベートライアン」のミラー大尉に通底する恐ろしさも本作が伝えたかったところだろう。 90分の作品ということもあり軽い気持ちで鑑賞したが、意外にも深みをもった戦争映画の佳作であり、その意味ではオススメできる作品だった。 【田吾作】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-03-09 13:23:28)
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