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《ネタバレ》 よくまあこれだけ帝国側に温情ある作品を描いて共産党にパージされなかったなあ、と思える作品(とは言え、後々の「君たちのことは忘れない」という作品で監督は完全に失脚したらしい)。自国の成立がいかに栄光の歴史に彩られていようと、どうしても戦争はいやだという立場に立って描かれた作品。ロシヤ革命は、男女の平等を訴えて婦女層の支持を得たが、そのために殺戮がなされることに何の意義があるんだ?という懐疑は、男女問題でズタズタに分裂させられた今の日本に住む僕が見ても、その意義を失うものではない。兵士マリュートカは、女でありながら小隊一の狙撃の名手。その初めて殺し損ねた男をアラル海経由で護送する途中船が転覆してしまい、小島に打ち上げられた2人は束の間の停戦を手にする。そこでこの男の平和を願う心、その知識の広さなどに打ちのめされる。それにもまして、敵であるはずのこの男が誰よりも一人の人間、という風に見えてしまうのだ。この男に初めて恋心を抱くが、敵味方の間柄で叶う筈がない。白軍の捜索隊がやって来て、男がそこに向かって行く所でマリュートカは彼を射殺してしまう。自分のした業の取り返しのつかなさ、そして、労農赤軍への忠誠の空しさをいやというほど余韻に残しながら話は終る。
【おおしまけんいち】さん 9点(2004-07-29 20:31:18)
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