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《ネタバレ》 非常に考えさせられる作品でした。
不寛容方式という御旗の下に生徒たちを厳しく指導する学校。また、盗難事件の犯人捜しにおいては平然と移民の子を疑う。そして、冤罪であることが判っても反省や謝罪はなく正当性を大上段から主張する。校内はルールによって秩序を保っているのだから。つまりは社会の縮図。 正義感が強く生徒に寄り添う姿勢の新任教師は、その正義感故に隠し撮りという行為に走ってしまった結果、窮地に追い込まれてしまう。生徒たちのための正しい行為だった筈が生徒からも保護者からも同僚からも糾弾される立場に。 言うまでもなく犯人捜しの映画では決してありません。ヒロインは正義感から隠し撮りをしたものの結果的には犯人捜しを行ったのと同様になってしまいますが、この場合の犯人捜しが齎したものは犯人の確定ではなく、校内に燻っていた半ば破綻している人間関係の露呈。 ヒロインは立場は違いながらも同じく窮地に追い込まれていた生徒と心の交流を果たすことが出来たのでしょう。しかし、その生徒は学校から、そして社会からも隔絶されたままに連れ去られていく。そこには何ひとつ解決と呼べるものはありません。 何気なく過ごしている日々が内包している本質的な悪意のようなものを感じずにはいられない作品でした。 ちなみに、邦題は「教室」ですが原題は「職員室」ですね。なぜ視点を変えて名付けたのか?しかも「ありふれた」?少々疑問というか疑義が残りました。 (追記)書き忘れていたことが一つ。エンドロールで流れるオーケストラの調べ。如何にも独作品という雰囲気の荘厳さを感じましたが、「真夏の夜の夢 序曲」だということを帰宅後にネットで知りました。思えば作品の冒頭でもオーケストラの調律のようなBGMが静かに流れていました。調律だったのか「真夏の夜の夢」の序盤だったのか、改めて聴いてみたいところです。(クラシックに疎い自分が悔しい) ネットで他の方が書いていらっしゃいますが、「調律音→完成された楽曲」で物語を表しているのでしょうか?だとしたら、エンディングはいま一つしっくり来ない気がします。もう一度鑑賞せねば。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [映画館(字幕)] 9点(2024-06-29 18:07:21)
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