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原爆の子 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 原爆の子
製作国
上映時間97分
劇場公開日 1952-08-06
ジャンルドラマ,戦争もの,モノクロ映画,歴史もの,実話もの
レビュー情報
乙羽信子と少年が互いに手を振りながら別れる萬代橋のシーンは、極端なローポジションによって、その欠けた欄干と手摺が空ける空間の中に組み入れられる。

被爆後7年を経た復興の風景の中に残る傷跡をそれ自体として中心化することなく、あくまでドラマの情景の一部として提示する慎ましさとリリシズムが全編を貫く。

被爆者の悲憤と糾弾を直截にアピールする同時期の日教組作品『ひろしま』との大きな違いだ。

歌唱やSEなど音楽的要素も様々に用法が工夫され、作品を抒情的に彩っている。

たとえば伊達信の臨終の場に、屋外から流れてくるチンドン屋の陽気な囃子(カウンタープンクト)。
少女が病に伏している教会に響く讃美歌。
元幼稚園だった草むらに残響する童謡。
雲間から聞こえてくる飛行機の爆音などである。

中でも、原爆投下直後を再現するモンタージュと伊福部昭作曲の合唱音楽の融合が、短いシークエンスながら圧倒的だ。

画面が伝える惨劇のイメージと、敬虔かつ崇高な音楽の力が一体となった情感は簡単に形容出来ない。
ユーカラさん [ビデオ(邦画)] 9点(2012-05-12 23:58:13)
その他情報
作品のレビュー数 18件
作品の平均点 7.72点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 1.73
このレビューの偏差値 54.29
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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