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《ネタバレ》 各役者とも決して動の演技が少ないわけではないにもかかわらず、表情芝居のショットが多い。ために、キャラクターへの心理的同化の効果は高いだろう。
(久石譲の雄弁な劇伴も相変わらずだ。) 雨の事件現場、傘の中で柄本明に無言で応える満島ひかりの表情の切り返しショット、続いて真上からの俯瞰ショットを繋げた喪失感の演出などをはじめ、確かに随所で達者な表情が引き出されている。 けれどよりエモーションを掻き立てられるのは、遺体安置所の廊下で支えあう夫婦のシルエットや、バスにお辞儀する樹木希林の背中であったり、湯によって温まる足指や、引き離される手と手といった部位による芝居だ。 あるいは・夜・曇天・風雨が主体の撮影のなかで、フロントガラスを流れる雨垂れを通して滲んだ不鮮明な表情や、灯台のシーンで夕闇の黒の中に消え入りそうになりながら強風の中を駆け上がる深津絵里の俯瞰ショット。つまりは見えない表情の喚起力である。 そしてその夜間においても見事な情景撮影は、凍えるような外気温と、二人の体温をも確り伝えている。 灯台に迫る警官隊のライトの列は、伊藤大輔の御用提灯を想起させるような粋な趣向だった。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-09-20 22:04:23)
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