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加東大介『南の島に雪が降る』の中で、南方戦線の兵士たちは、
演芸分隊による作りものの雪や柿に涙する。 実物の雪でないのは明らかであるにもかかわらず彼らの心を打ったのは、 そこに人の手作りによる文化の感触があったからではないか、と長谷正人氏は云う。 CGアニメーションの動画が最新技術によって いかに滑らかに軽やかに表現されようが、 コマ撮りアニメの独特のタッチと動きがいまだに新鮮さを失わないのは 実物らしさの問題ではなく、丹念な手作りの感覚の中から 作り手の人間性や心意気が伝わるからこそだろう。 コストだけでは計れない贅沢な職人技、だからこそ現在的な意義がある。 作り手の後ろ向きな回顧趣味では為し得るわけが無い。 光線に貫かれたビルの被弾部が一瞬間を置いて溶解し、炎が噴出する。 寺院をなめた背後の建築物が爆発すると共に散乱する大小様々な破片。 舞い上がる火の粉。巨神兵の姿を揺らめかせる陽炎の効果がさらに禍々しい。 崩れ落ちるビルは、内部まで高精度に作り込まれており、 安っぽい発光を用いないので鉄塊の物質感は満点である。 細部に至る作り込みとハイスピード撮影との相乗効果が生み出す即物感と重量感。 それこそが、CGには出せない具体的な味の最たるものだ。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-12-09 01:43:17)
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