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《ネタバレ》 原作では海辺が舞台となる謎解きシーンは、映画では取調べ室に置き換えられる。
本来なら、その後に続く杏と風吹ジュンの面会シーンのようなセットとしたほうが いかにも現実的で「ツッコまれ」ないだろうが、映画はあの部屋を要請する。 劇中で幾度も変奏されてきた反射装置の極め付けと云うべきミラーガラスが そこにあるからに他ならない。 この1枚の仕切りを介した視線の劇が、 『パリ、テキサス』とはまた別種の形容し難い情感を生む。 母娘の正対する面会シーンもまた、仕切りを介して現在と過去を交錯させる。 息せき切って走る、フラッシュバックの中の娘。 揺れる水面上で、マジックミラーの背後で、喘ぐように嗚咽する現在の娘。 女優の呼吸が、ヒロインのキャラクターに文字通り生を吹き込んでいる。 そして疑似父子としての福山雅治と山崎光が 幾度もロケット実験を繰り返すシーンの清々しさは、その放物線の美しさと共に 『父ありき』の川釣りのシーンにこじつけたくもなる。 二人が横並びで座る駅舎のベンチシーン。 福山の誠実な語りの響きがいい。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-07-02 23:17:58)
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