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《ネタバレ》 地に足をつけ、ペットボトルを踏みつぶし、自転車を漕ぎ、高台で放尿する成嶋瞳子が身体性をフルに発揮して素晴らしい。
橋梁を叩き、冷たいパンを貪り、鬱憤を溜め込んでいく篠原篤の佇まいも口舌も、見事に映画の芝居である。 闇と光と水、接触と不具。それらの主題によって、単なる観念映画とは一線を画す。 黒田大輔に思いを吐き出す篠原の叫びの痛ましさ。その表情に、劇中でただ一度カメラが一気にズームする。 それが正しいのかどうかは判らぬが、カメラも思わず自制を失い図らずも寄ってしまったという感じの画面の動揺と合わさり、心を揺さぶられる。 ラスト、青い空を背にボートに乗る男たちの、前を見つめる凛とした表情が心に残る。 カーテンの開かれたアパートの窓から陽光が美しく差し込み、黄色いチューリップ瑞々しく照らし出す。 部屋の佇まいもまた、人物の感情を見事に表象している。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 8点(2016-03-16 01:47:26)
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