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柳愛里と西島秀俊の二人を引き気味の位置から捉えるカメラ(田村正毅)が醸しだす緊迫感が尋常でない。会話の反復と、台詞のトーンの変調で一気に画面が張りつめる。一人買い物に出た男がアパート二階にある女の部屋に戻ってくるまでのサスペンス感の醸成も秀逸。白いカーテンの微かな揺れや、一階のドアの開閉、その「間」が画面に不穏な空気を横溢させる。あるいは、後半で女が自転車を駆る疾走感の見事さ。その彼女を見つけ、男が追走する横移動のショットも素晴らしく良い。自転車で逃げる女と、自動車で追う男が窓のフレームを挟んで緩やかに近づいたり、離れたりを繰り返す。続く質素なアパートの場面では、窓からの西日が作り出す陰影が強く印象づけられる。尚且つ、環境音、ノイズ、声音といった聴覚的要素も最後まで見事に物語に活用されている。役者、撮影、録音、照明、、すぐれたスタッフワークの賜物といえる。
【ユーカラ】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2010-03-22 22:50:33)
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