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イギリス映画で、20世紀の悪しき慣習がテーマで、ベネチア映画祭グランプリと三拍子揃えば、そりゃあこういう映画になるのは必然というもので、そういえばちょっと前に「マグダレンの祈り」という中途半端な映画があったが、方向性は違えど陰湿な空気はどちらも非常に類似している。この陰湿な暗さに完璧な正攻法で立ち向かった、無邪気なまでの創作意欲には敬意を表するが、この映画自体がまず古い慣習から抜け出ていないようにも感じた。古臭いという意味でなく、1世紀以上積み上げられてきた映画という集積物をなるべく崩さないようにと、つとめて優等生的に、もちろんその姿勢に対しての何らかの意図的姿勢を持つことなく、である。さらに苛立たしいのは社会とか戦後といった背景が、見え隠れどころか全く安易に映画の中でのさばっていること。一家をめぐる悲喜劇をもっと見せたかったに違いないが、その肝心なドラマは社会によって相殺されてしまった。主人公のおばあちゃんやその旦那たちはがんばったが、映画としての躍動感を感じ取ることができずそれにより演ずる側も演技を超えることができなかった。
【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 5点(2005-08-23 02:19:31)
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