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香川京子「『何だそれは、キュウリか?』って・・・」原節子「え?」香川京子「キュウリって言ったわよ!」ここで香川京子が泣きます。原節子は「まあ、それは失礼ねえ」とか言いながら可笑しいのを堪えています。もう、このシーンだけでも何度も見たい!(ちなみにキュウリとは、香川京子が描いた日本地図のことです・・・)成瀬の映画で庶民の日常そのものを描いている作品って、実は意外と少なく「驟雨」はその中の一つです。小気味よいテンポとささやかなピアノからなる、ほんとに小品といった感じのこの映画は、それでもいつものように全く手抜きがありません。商店街の雰囲気や、まだ道路の整備されていない住宅地の佇まい。たった一つの画面から様々な心情を映し出す撮影と照明の素晴らしさ。そして大げさにデフォルメされた人物たちのおかしさあふれる抜群な演出。幼稚園での会合のシーンなんて、例えば脚本を見ただけで、あれだけ連続性に富んだ映像を創造できる人はいないと思います。この年、成瀬監督は他に「妻の心」と「流れる」を上梓しています。しかも「驟雨」の前は「浮雲」!この事実を前にただ驚愕するしかないです。今ではもうそんなことはありえないから。
【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-09-24 01:52:46)(良:1票)
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