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《ネタバレ》 「台風クラブ」の三上君がやってのけた”厳密なる死”の約20年前、この映画の主人公:国分主将は合宿最終日に胴着を着た格好で自殺した。三島由紀夫の原作をかなり忠実に映画化した本作品は、原作以上に(原作もとても面白い)異様で、息苦しい。文字と映像との比較から言っているのではなく、そこに至るまでの立ち上げ方というか、例えば映画が映画として成立する境界があるとした時、最初に挙げた「台風クラブ」なんかはその境界を綱渡りしているような、そういうスリリングさを感じるのだけど、小説の「剣」は三島由紀夫の高度な技術によってそれが小説として見事に立ち上がる分、そこまででしかないとも言える。翻って映画の「剣」は、撮影や照明の技術、あるいは原作では登場しない文学部の女によるサスペンス的展開を用意する事によって映画の世界を立ち上げるが、その立ち上がった映画的な何かがちょっとただ事でない。国分の存在は純粋な剣道の訓練と等価であり、心理がない。また、彼を取り巻く人物もその無心理にとりつかれ、やがて規律的な運動だけがこの映画の要素となる。とんでもない映画を見てしまった。
【Qfwfq】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-05-06 00:38:22)
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