| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 この映画はホントの意味でのマザー・コンプレックスが作らせた映画ですね。ラストで「ありがとう、ごめんね」と言ってるのは、妻ではなくて母です。男を残して先に逝く女は、本質的に母なんです。職場の人間関係は狭いし、職場の外とは最初から切れてるし、コトバなんか無くても分かりあえるごく狭小な世界で、お母さんに「ありがとう、ごめんね」と言ってもらうためだけに男は生きる。映像はとても美しくて、日本の美景を自信を持って撮っている。桜、富士、白砂青松、雪、そして薄暮のレインボーブリッジ(?)まで。海外賞ねらいとは少し違う。この美景にオレは照れない、という覚悟を監督が打ち出してる感じ。それなら、文句をつけたいのはただ一点だけ。「これがオレたちの愛の劇なんだ、これが美しいんだ!」って照れずに言い切るのは立派だが、「これがそれだっ!」てこと自体が寸足らずの喜劇だぞ。優しいお母さんと、美しい自然と、殴り合うダチと。これってちょっと世界が狭すぎないか? お前は十代の不良なのか? たしかに今の日本のクリエイターが到達できる限界まで行ってる優れた映画だと思うけれど、これが優れた映画だっていうこと自体が「オレたち」の限界を示してる。
【哲学者】さん 8点(2004-08-10 16:21:13)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |