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《ネタバレ》 ◆映画好きの主人公トトと映写技師のアルフレードとの一生涯の関係を描いたヒューマンドラマです。◆映画しか娯楽のないところでは、映画館は、人々が泣いたり笑ったり怒ったりしながら時間を共有する場だったのですね。そして、その中で映写技師は人々の感情を動かすことができる、映画という力を持った重大な存在だったのです。映画館に入れないお客さんのために、民家の壁に映画を映すシーン(大好きなシーン)は、当時の映写技師の技術がいかにお客さんを感動させることに必要だったのかわかります。◆アルフレードが文句をいいながらも映写技師を続けていたのは自分が映画を上映することによって、人々が喜んでくれることが嬉しかったのでしょう。ただし、人々を喜ばせるのは映画自体であって、映写ではありません。本当に人々を喜ばせたいのなら、映画を作るしかないのです。アルフレードは映写ではなく、映画を作りたかったのではないでしょうか。自分の映写で喜んでくれる人たちを見て、これが自分の映画だったらと悩んだのだと思います。◆だからこそ、アルフレードはトトに夢を託した。映写によって人々を喜ばす、という非現実から目覚めて欲しかったのだと思います。◆映画監督になったトトは、現実の世界から、非現実の世界へと戻ってきます。思い出を残しながらも原型を留めていないものたちがトトを迎え入れます。そこでトトは現実の世界に自分を押し出してくれたアルフレードの優しさに気がつくのです。そして、最後のシーン。トトはアルフレードが、映写技師の持てる技術を駆使して作った、稚拙ながらも作者の思いがふんだんに詰まった作品を見て涙を流すのです。 ◆9点を献上させていただきたい。
【もりたろう】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-11-10 11:09:42)
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