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写真家の撮った映画は軽視されがちだ。所詮はフォトグラファーの余技、動く写真集にすぎぬというわけだ。この小品もサウンドトラックを聴いたり元になった詩を目にすることはできても、この国で映像を見ることはできない。けれど映画が映像を媒体としながらそれ自身が美しいといえるものはそう多くないことを考えると、それらの作品にも存在意義がないとはいえない。ソフト・フォーカスの女性写真で知られたデヴィッド・ハミルトンが南仏サントロペを舞台に写しとった、19世紀に書かれたピエール・ルイスの詩集から名づけられた4人の男女のひと夏。技巧的な演出はないし、彼の同名の写真集の方が高尚ではある。年上の女性メリッサに憧れる16才のビリティス、彼女を見初めるカメラマンのルカ(ジロドーはのちにサン・テグジュぺリを演じる)、謎めいた船員ニキアス(カリエールはのちにエゴン・シーレを演じる)。流れるフランシス・レイのシンセも甘美なもの。陽光ふりそそぐ日々は過ぎ去りビリティスの夏は終わった、思い出と悔恨を残して。
【レイン】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-09-25 00:04:24)
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