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仕立て屋の恋 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 仕立て屋の恋
製作国
上映時間80分
劇場公開日 1992-07-17
ジャンルドラマ,サスペンス,ラブストーリー,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 ルコントは「イヴォンヌの香り」という作品があるように女性の香りにこだわる。 イールが息絶えるまで握っていたハンカチにも女がつけていたのと同じ香水を染(し)ませてあった。 いってみれば彼は愛した女の一部と共に逝ったのであるが、このイメージは原作にはない付加されたもの。 まだ若いサンドリーヌ・ボネールは孤独な男の心を捉えるアリスを演じるに十分な魅力を放ち、部屋を覗いていた男を最初は畏れながら、いつしか眼差しが快感となり心を赦し、戯れに接吻までしてみせる。 それが純粋な好意からだけではないのをイール自身が熟知しているのがまた哀しくもあり。 アリスが失意の彼が駅から戻る時間を見計らってした行為には慄然とするが、映画では彼女の態度に曖昧さを残しているせいで生じる劇的な効果でもあろうと思う。 「君を恨んではいないよ。 喜びをくれたから」 この感傷的で痛切な台詞も本にはない。 イールが自分を捧げた女の裏切りにそれほど永く苦しまずにすんだのは温情といえるかもしれないが、これは本当に心に痛い。 ルコントがジョルジュ・シムノンの短編小説「イール氏の婚約」から儚い恋を掬い上げ昇華した逸品。
レインさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-01-29 23:59:58)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 77件
作品の平均点 7.43点
作品の点数分布
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679.09%
72329.87%
81620.78%
91114.29%
10911.69%
作品の標準偏差 1.59
このレビューの偏差値 56.21
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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