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《ネタバレ》 この逃走、追走劇は追う者と追われる者の距離感がとても良い感じだ。トレーラーハウスのソファーからスタートし、バビエル・バルデムはミルクを残し、証拠の弾は残さなくとも錠前を打ち抜いていく手口で同一犯という足跡を残していく。ジョシュ・ブローリンは金を換気溝に隠し、バルデムはその隠した形跡を見つける。ウディ・ハレルソンの役は一体何なんだ?と思ったが、彼の登場もまた小休止からこの追いかけっこを再開する合図であり二人の距離を繋ぐキーパーソンとなっている。さらに一触即発の対決シーンが凄い。バルデムがブローリン、トミー・リーと各々ドア一枚を挟んで対峙するのだが、いずれも夜でドアの足元の隙間、ぶち抜かれた鍵穴からそれぞれドア向こうの様子を窺う感じの闇と光が何とも言えない緊張感を生んでいる。またいわゆる映画に度々出てくるような殺し屋スタイルではないバルデムの不気味さが、この作品の異常さに一役買っているのは間違いない。少し寂しいのはトミー・リーが途中からほぼ傍観者と化してしまうとこだが、彼は原題の「~for Old Men」にあたる人物でありこの物語の意味付けをする役割を担っているからであろう(興行面の問題で仕方ないのかもしれないが、そこから考えても for old men を省いた邦題はいただけないと思う)。だがもしトミー・リーも「逃亡者」のジェラードの如くただただ執拗に迫ってくる保安官だったらもっと凄い作品になっていたかもしれないとも思う。
【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 9点(2008-03-18 18:14:06)
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