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まず、この映画、観てちっとも楽しく映画です。戦闘シーンはあくまでストーリー展開上の背景でしかないので、戦争スペクタクルを期待する人にはちっとも面白くないでしょう。でも、これはイーストウッド自身がインタビューでそういうことを期待する人は別の映画を観てくれと言っているように、硫黄島の戦いでヒーローに祭り上げられた兵士達の顛末を描くことにより、アメリカが戦争遂行のためにいかにプロパガンダを繰り広げ、そのかげで一般兵士がどのような運命をたどったかを後世に残すための作品です。そのためにイーストウッドの描き方は恐ろしいまでに中立的立場を貫き、けっして個人の主張を打ち出していません。結果、娯楽作品にはなり得ないものだけではなく、テーマに共感したり感銘を受けるといった事も難しくなってます。時間軸が前後しすぎることも含め、きちんと映画を観ること自体に努力を要する作品ですが、戦争における国家の実態を知るということでアメリカ人は是非観るべき映画でしょうし、戦争の怖さが単に戦場のことだけではないことを知らしめる作品として、世界中の人々が一度は観て欲しい作品です。「硫黄島からの手紙」のほうが米国でも評価は高いようですが、戦争と国家の対応について後世語り継ぐ題材としては、この作品に勝るものはないかもしれません。
【はやぶさ】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-12-23 01:17:19)
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