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《ネタバレ》 邦画史上最高の遺作。ただこの映画を「遺作」とするのは忍びがたい。竹中労氏の名書「鞍馬天狗のおじさんは」でアラカン(嵐寬寿郎)が語る青年山中貞雄は天才でも何でもない、ただ愛すべき「映画馬鹿」であった。風采はあがらない、生活観念も少し乏しいが映画を撮る事にかけては物凄い才覚をもっていた彼。アラカンの独立プロを経て大手映画会社に移り、これからという時に忍び寄る戦争の影。そんな世相の中で撮られたこの作品は、お通夜の席であっても「笑わなければやってられない」寂しさが画面から溢れてきてやりきれない。そしてラストの紙風船。ここまで強い寂寥感を持つシーンを以降私は観たことが無い。 出征前の送別会で山中は前後不覚になるほど酔いつぶれ、座敷の階段を転げ落ち「自分は不器用だから戦場に行っても死ぬだけやわ」と号泣し、戦場へ向かって行った。そしてその一年後中国大陸で戦病死する。遺書「最後に、先輩友人諸氏に一言。よい映画をこさえて下さい。以上」
【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 10点(2009-07-12 02:49:14)
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