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《ネタバレ》 できる限り作品情報をシャットアウトしながら予備知識や先入観を持たず――それでも作品評価が賛否両論であるという情報や軽いネタバレをネットでくらってしまったが――大学生の息子と二人で鑑賞。戦いに身を投じていくこととなる「人につくられた者たち」のアクションと、過去に理不尽な形で家族を失っていた彼らの悲しみや彼ら同士のほのかでプラトニックな心の交流が描かれる。
登場人物の心の動きというか、心動くきっかけやタイミングが僕の感覚とマッチしなかったため、物語そのものには乗り切れないところがあった。シーンがぶつ切りに見えてしまったり、物語やその背景に従って登場人物が半ば無理矢理動かされている印象を強く持ってしまったりもした。だが、ここ一週間ほど僕自身に家族にまつわる辛いことがあったため、主人公たちのやるせなさや悲愴感が普段以上に心に沁みて仕方がなかった。映像や書籍などに触れるタイミングがその個人的評価を大きく左右するのだと改めて強く感じた。 フィルム面からは、庵野監督の目と耳の良さを改めて感じた。アクションシーンの動きは総じて早めだが、そのスピードが絶妙で、見ていて気持ちがいい。また、そこでの殴打時の効果音の太さと大きさにも驚きと生理的快感があり、それが堪能できる大音響での鑑賞が家ではほぼ不可能なことを考えると、これだけでも劇場で鑑賞できて良かったと思う。 ちなみに、庵野監督作品で劇伴担当が鷺巣詩郎でない作品を観るのは『トップをねらえ!』以来で、これまでの作品とは異なるメロディアスで現代的な音楽も印象に残った(今回劇伴担当の岩崎琢は『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編』の劇伴を通じてリアルタイムで知り、一時期ファンとして熱心にその音楽を追っていたので、今回の起用は嬉しかった)。 現在は息子自身も辛い状況にあるはずなので「面白かった」「かっこよかった」だけでなく、本作を覆う沈痛な感情と、それでもそこから自らの手でつかみ取るべき可能性を本作から掴んでほしいと思う。一緒に観て良かったと思った。 【はあ】さん [映画館(邦画)] 8点(2023-03-27 11:07:00)(良:3票)
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