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ケイコ 目を澄ませて のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ケイコ 目を澄ませて
製作国
上映時間99分
劇場公開日 2022-12-16
ジャンルドラマ,スポーツもの,実話もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 主人公の台詞はほぼ無し。BGMもありません。無表情、あるいは不機嫌そうな顔ばかり。化粧っ気なし。腫れた瞼。それが主人公の日常です。そんな彼女の表情に感情が現れるのがボクシングでした。嬉しそうにミット打ちをする姿に何だか救われました。多分彼女はボクシングを通じて会話を交わしていた気がします。普段はままならぬ他者とのコミュニケーション。「打てば響く」心地よい時間は「生きている実感」そのものだったことでしょう。会長がくれた宝物のような時間。「チャンピオンになりたい」ではなく「会長や仲間と練習したい」が本心だったのでは。ですから「会話」にならぬ「怒鳴り合い」はそこまで楽しくありませんし、話し相手を失うジム移籍は論外でした。
会長との2人シャドーのシーンがたまりません。至福の時間。でもこれが最後。恋人を、いや父を失う感覚でしょうか。大切な時間が消えて無くなる寂しさや辛さは察するに余りあります。しかし誰もが通る道でもあります。人生に永遠などありません。彼女にも人生の岐路が訪れたということ。主人公と何ら変わらない、顔を腫らした対戦相手とリングを下りて対峙した時、彼女の胸に去来したのは何だったのでしょう。もし彼女がボクシングを続けるのであれば、その目的は今までとは全く違うものになるはずです。誰よりもよく観察して、彼女は自分の進むべき道を走って行く。
岸井ゆきのさんは各種映画賞受賞も納得の熱演。三浦友和さんの演技は個人的に好き過ぎました。あの声、あの佇まい。憧れます。刺激的な描写や展開はありませんが、シーンの切り取り方に独特な間合いがあり惹きつける力がありました。後からしみじみ感じ入ることが出来る良い映画だと思います。
目隠シストさん [インターネット(邦画)] 8点(2023-06-24 17:21:36)
その他情報
作品のレビュー数 15件
作品の平均点 6.87点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 1.41
このレビューの偏差値 55.72
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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