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《ネタバレ》 本作を理解(解釈)する上での重要シーンは「クソデカこおろぎ」と考えます。警察から逃亡中の父親が見た幻。ここから次の2点が導かれます。①父親は幻覚を観るほど心身が摩耗していたこと。おそらくは統合失調症。リアリティゼロの「高速道路生活」に父親は精神疾患を患っていたという理由が加われば、少しは腑に落ちるというもの。②明らかな幻覚は「目にしたものを信じるな」の意。これは当然ながら結末にも当てはまります。「本当に母親は助かったのか?」「赤ちゃんは無事産まれたのか?」残念ながら答えはNOです。あの状況で母親が無事な訳ありませんし、超未熟児と言われていたお腹の子がふくよかなはずもありません。現実は泣き叫ぶ姉弟が再び映し出されるラストカットの示すとおり。父も母も焼け死んでいるでしょう。
興味を引く設定にインパクトある結末。前述した「クソデカこおろぎ」は見事な伏線であります。テクニカルな映画で間違いありません。ただ好きかと問われるならNOです。いや、ハッキリ言いましょう。大嫌いだと。これは後味の悪さに文句を言っている訳ではありません。何でしょう「理念の無さ」に対する反感でしょうか。例えば鬱映画として知られる『ミスト』。後味の悪さなら本作以上です。でもかの作品には結末に至る必然性がありました。さらには教訓も。だから最悪な気分なのに、何処か清々しいのです。その一方、本作は刺激を求めただけに思えます。そもそも設定が荒唐無稽が過ぎますもの。せっかく社会問題を提起したのに真摯に向き合うことなく、燃やして終わりなんて手抜きもいいところでは。これもある種の「爆発オチ」であり、シリアスドラマで用いて良い手法ではありません。 【目隠シスト】さん [インターネット(字幕)] 5点(2025-06-05 23:19:59)(良:1票) 《新規》
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