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《ネタバレ》 監督執念の家内制手工業により生み出された1作目は異様な迫力を湛えた怪作でした。それに比べると、豊富な資金が投入され制作された本作はシリーズ映画でありながらまるで別物の装いです。まずもって「観やすい」。確実に洗練されました。それに加えて世界観は更なる進化を遂げ、ゴリゴリのSF仕様に。とはいえ難しい理論はありません。有りもしない専門用語の羅列とトンデモ展開で観客を煙に巻く「正しい」大衆SFの様式美です。監督の悪ふざけや趣味趣向も輝きを増し、1作目より"外向きな"タイトルに相応しい『JUNK WORLD』が誕生しました。
それにしても驚くべきはその変化です。「洗練」とは角や粗を削ぎ落とす作業。一緒に旨味や魅力が失われる事例も珍しくありません。アクもまた味のうち。しかし本作にはきちんと旨味が残されているばかりか、深みと奥行きを感じさせる仕立て。まさに進化にして深化です。ある意味「全て自分のもの」であったパーソナルな『JUNK HEAD』を大勢の手(資本)に委ね、パブリックとなった訳です。監督には、まるで手塩にかけた娘を嫁に出すような寂しさもあったのではないか。でも内向きのままでは、進化の高は知れています。やはりクリエイターならば更なる高みを目指さなくては。そのために必要なのは「外向きの力」=「資本の助力」であったと思うのです。異なる視点にアイデア。技術と労力の提供。監督一人の力では到達出来なかったであろう地点にまで『JUNK WORLD』は飛翔したと考えます。1作目とは異なる種類の感動が本作にはありました。いたく感銘を受けたため前作以上の点を付けなければ気が済みませんが、それが出来ないのがもどかしいです。 【目隠シスト】さん [映画館(吹替)] 10点(2025-06-28 16:38:50)(良:2票)
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