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《ネタバレ》 貧困、生活保護不正受給。現代日本の社会問題を扱うシリアスなサスペンス。何処まで踏み込んで描くのか興味津々でしたが、残念ながら「腰砕け」でした。少し前別の作品の感想でも書きましたが、この結末は要するに「爆発オチ」に同じ。しかも全員黒焦げ頭チリチリだけどぴんぴんしているタイプのやつ。そんなお手軽お気楽な処理でお茶を濁していい題材ではない気がしますが。
主人公がハマった沼は決して他人事ではありません。誰にでも起こり得るレベルのトラブルです。死にたいけど死ねない。殺したいけど殺せない。そんなの生きてりゃ普通にある事です。ただし「絶体絶命」でもなければ「八方塞がり」でもありません。充分に正攻法での解決が可能な範疇です。上司に報告し判断を仰ぎましょう。警察や弁護士に相談しましょう。もちろん無傷では済みませんが、それが何だというのでしょう。痛かろうが、苦しかろうが、恥ずかしかろうが、今出来る精一杯の手法で難局に立ち向かうのみです。自暴自棄で包丁を持ち出し、周りが暴走した挙げ句に警察沙汰で強制終了なんて筋書き、手抜きもいいところでは。本当に「この選択しかない」ところまで追い込まれて初めて許される結末と考えます。スティーブン・キングの『ミスト』を参考にしてください。そういう意味で冒頭「腰砕け」と書きました。 実際問題、主人公の行動は軽率でした。ただしマネージャーがタレントに手を出した事例とは根本的に異なります。高野のように立場を悪用し関係を強要したのであれば論外ですが、原則として「自由恋愛」を咎める法はこの国にはありません。先のタレントの例は「食い扶持を失う」マイナスが組織として禁止されているだけであり、本作で主人公がシングルマザーと結婚しても責められる筋合いはありません。何なら生活保護世帯が減り課税世帯が増えるばかりか、人口増まで期待できて良いこと尽くめ。美人局紛いの不純な動機がキッカケだとしても、最終的に二人が、いや三人が幸せになれるのであれば良いではないですか。主人公が犯した最大の過ちは、シングルマザーに手を出したことではなく、窮地に陥った時に誰にも助けを求めなかったことです。 【目隠シスト】さん [インターネット(邦画)] 5点(2025-07-17 10:54:22)(良:1票) 《新規》
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