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《ネタバレ》 ルーマニア映画。ルーマニア語の映画を観るのははじめて(多分)。共産主義時代の1987年を舞台としており、そこここに共産主義国独特の空気が漂っている。この映画は小説でいえば斉藤美奈子いうところのいわゆる「妊娠小説」で、妊娠したルームメイトを助けようとする女性を描いている。ただしこれまでは「妊娠した女性vs妊娠させた男」の構図で描かれたものが多かったと思うけれども、この映画では妊娠させた男は出てこず、出てくる男性は手術を行う男と、助けようとするオティリアの恋人である。この映画のすごいところは言わない科白がガンガン心に伝わってくるということ。話していることよりも話していないことが大切だった。手術の途中、オティリアは恋人の母親の誕生日パーティに行かなくてはならない。そこで恋人と口論になる。私たちは彼女が今どんな状態に置かれているかを理解しており、恋人は全く何も知らない。自動的に私たちは決定的に彼女の側に立たされる。恋人とオティリアの会話のなかにかすかに真実が垣間見える。緊張のシーンが多い中、この会話のシーンが一番心に残った。数日が経過してもまだオティリアの顔がちらつく。映画として文句なしの傑作と言っていいと思う。
【はちかつぎひめ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-03-26 12:03:22)
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