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《ネタバレ》 世評では「ハートフルで泣ける映画」なのかもしれないが、実はそういう話は見せかけだと思う。
■とにかくシンシアが非常に自分勝手で、ホーテンスを最初避けながら一気に距離を縮めるのは、自分のことを考えてくれる人がいないという寂しさと、「優秀な自分の娘」というある種の満足感を満たすためで、ちっとも母親的にふるまってはくれない。これは「ホーテンスに何をしようか(償えるか)」という発想が全く出てこないことからもそういえるだろう。パーティーで突然暴露するのも、ロクサーヌという「あまり出来の良くない娘」に対して、ホーテンスという「出来のいい子」が実は自分の娘だよという親エゴ自慢でしかない。そして最後、「人生っていいわね」というのはポジティブなハッピーエンドというより、ともかくも泣いてことをなあなあにして誤魔化して悪くない感じになったから「いいわね」と無思慮に言っているだけで、むしろこれまでの自分勝手さへの反省のなさが表れている。 ■しかし、モーリスの回想でも、シンシアは母の死後「いい姉」であったことになっている。どこかで何かが壊れてしまったのであろう。そして、シンシアがモニカに言った「あなたは父を奪い、モーリスを奪い、そして娘を奪おうとしている」の最初の「父を奪い」に該当する話がついに出てこない。これは映画中で明らかにされなかった「秘密と嘘」の部分だと思う。モーリスの知らないところで、モーリスとシンシアの父とモニカに何がしかの関係があったことがここでほのめかされている。それを加味するとこの映画は非常に黒いものを描いているように思える。 【θ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-09-24 01:09:44)(良:2票)
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