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《ネタバレ》 人間なら誰しもが抱く、承認欲求、自分が何者でもないことへの不安。社会、他者、物に対する依存。
デイヴはマークを庇護の下に置き、マークは理想である兄を追い続けた。デュポンの母は名誉に捕らわれた。 デュポンは母の影に支配され続けていた。そして、マークに対しては自分と同じもの(何者かの庇護の下にいる)を重ね合わせ、自分が持っていないカリスマ性を持つデイヴに対しては憧れを抱いていた。社会、母、デイヴという存在に捕らえられ、また自分もマークを庇護し捕らえようとしていた。 自分の下を離れるマーク。自分自身であるマークを失ってしまったデュポンはついに憧れの、理想の自分であるデイヴを殺してしまう。ついに支配、人間という生き物の輪廻から抜け出すことは出来なかった。 何かを常に捕らえるかのような客観的なカメラ視点が終始続く物語の中で、何者の視点でもないマーク自身の主観ショットで自ら柵に囲まれたリングに向かうマークはこの映画で唯一独立した存在、人間ではない何かに成り得たようにみえた。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-12-31 21:19:33)(良:1票)
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