| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 ★シンプルではあるがめくるめくような映像の迫力が圧倒的。特に中盤、ポニョがリサと宗介の車を追って、津波に乗って駆け回るシーンは、大迫力。おまけにワーグナーの「ワルキューレの騎行」ばりのBGMまでかかって、もうにやにや。 ★そういやポニョの本名、「ブリュンヒルデ(ワルキューレの女神達の長女)」でしたっけ。戦死した兵士達の魂をヴァルハラへ送る戦の女神。父神ヴォータンの命に背いたために力を奪われ、眠らされてしまう。しかし恐れを知らぬ英雄、ジークフリードによって目覚め、彼と結婚する・・・意味深ですね。 ★しかし本質的にはメッセージだのテーマだのしち面倒くさいことはなし。ただ一つ教訓があるとすれば、何かを得るためには何かを失わないといけない、ってことか。もちろんこれも対して重要なテーマじゃない。ちゃんと伝わってないなんて野暮な突っ込みはしない。 ★ポニョがかわいくて、宗介が5歳の子とは思えないほどしっかししてて、ひまわりの家のおばあちゃん達も飄々としてて、大人たちの事情もそこはかとなく感じられて、サンドイッチとラーメンはおいしそうで、絵はシンプルだけどデッサンと動きはいつも通りまったく手抜かりなくて、相変わらず宮崎駿の描く異形の者と異形の世界はイマジネーションたっぷりだし(ちょと過去の作品の拝借もうかがえるが)、魔法の金魚姫ポニョと、宗介のお互いの純粋な想いが映画全般にわたってイメージとしてすばらしく表現されていて、それで充分じゃないかなと思うんだけど。 ★物語的に、あるいは演出脚本的に完璧じゃなきゃいや、ってのはそれこそ大人の都合。車の運転しながらアイスなめたり、親を呼び捨てにさせるのに眉をひそめるのも大人の都合(余談だけど、ファンタジーの世界でも悪いことをするのは悪役ばかりじゃないというシーンは、ぼくは逆説的に見せる必要があると思う。しかしながら、宗介はおばあちゃん達のことをちゃんと名前で、さん付けで呼んでるが)。 ★ま、確かにカネ払うのは大人なんだから、大人が(子供向けであるにしろ)納得するつくりじゃないとイヤってのはあると思いますけどね。で、これもちまたの評論家とかの悪評を見て迷ったんだけど、結果的には観てよかったあ、と。ぼくは精神年齢が幼いのですね(笑)。
【wagasi】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-08-17 13:11:22)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |