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もともと好きではないラフマニノフだけれど、こういう映画でも見ればちょっとは好きなほうに針が振れるかも・・・、なーんて思って見た私がバカでした。これぞ「駄作」という呼び名がふさわしい。こういう映画は、思いっきりドラマ性を追求するか、芸術性に走るか、その軸足が定まらないと、こういうどーでもよい作品になってしまいます、みたいな典型例。ラフマニノフの音楽はそこそこ使われますが、演奏シーンは少ない方です。しかも、彼の伝説の技巧が披露されるシーンはただの一つもありません。じゃあ、ドラマ性はといえば、彼が演奏家と作曲家の立ち位置について、その狭間で苦悩するというのはサラ~ッと描写されますが、そのほとんどは、女とスタインウェイに悩まされた以外に、何に葛藤し苦しんだのかも分からない描写の数々です。最近流行の時系列をグチャグチャにする作りを取り入れていますが、本作ではそれさえメリハリになっていません。原題にある「ライラック」もほとんど生きていません。ラストに唐突に意味を持たせて使われますが、スクリーンの中では最高の盛り上がりを見せるに反比例し、見ている方は最高に白けます。かの有名なラプソディーが虚しく頭にこだまするばかり・・・。不幸にも、私はこの映画を見て、ますますラフマニノフにアレルギーを持ってしまいました。
【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 3点(2009-08-24 12:02:05)
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