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《ネタバレ》 もうこれは見る前から点数が決まっている。もう何度目かの鑑賞だから、評価が揺るぐこともない。若きアレクサンデルの、死との対話。その何とも美しく、俗っぽく、且つまた示唆に富んだものであることか。それ自体がベルイマン版『ハムレット』、父の死によって全ての転落が始まるという設定が全く同じなんだね。父親が最後に言い残す、『これで亡霊が演じられる』というせりふの含みの大きさよ。この換骨奪胎振りに、ひたすら感服。
でも今回は3時間バージョンでの鑑賞。ずいぶん重要なエピソードが落ちているなあ、という印象。何より最初のひたすら無駄に長い(これほめ言葉)饗宴場面が切り捨てられるのは痛い。養父の娘たちの亡霊たちの登場がないと、いろいろ説明がつかないんじゃないかな。『ハムレット』が父親の死によって上演中断されたあと、落ち目になった劇団が『十二夜』を上演している場面もカット。『ハムレット』と『十二夜』って、シェイクスピアのキャリアの中でも執筆時期が隣接していると推測されている。その結びつきはベルイマンの中では結構重要だったはず。 とか何とか文句は言ったが、3時間版でも十分魅力は楽しめる。でも、やっぱりこれは、5時間でないと。(といいつつ、今回みたいに忙しいと、きっと3時間の方をまた選んでみてしまったりするんだろうな。) 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2007-09-29 00:12:22)(良:3票)
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