| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 かなり独りよがりな映画なんだけど、最後までこの雰囲気について行けたんで僕にとっては楽しい映画でした。もうこれは、ガエル・ガルシア・ベルナル演じる主人公のセンスについていけるかどうかの映画ですね。お話の大半はこの主人公の夢の中なんですから。ガエル・ガルシア・ベルナル。名前だけじゃなくて顔もかっこいい色男です。
さて、この主人公はいわゆる妄想癖のある男なんだけど、そんじょそこらの妄想好きじゃ対抗できないレベルに到ってるわけです。夢遊病も混じるほどの妄想癖で、夢うつつで手紙を書いて、向かいの好きな女の部屋に滑り込ませちゃうくらいイッちゃってるのね。その癖、自分のセンスはイケてると思い込んでる節もあり、自分の職業はカレンダーのデザイン企画とか偽っちゃうくらいの見栄も持ち合わせている。かなり性質の悪い不思議ちゃんです。そもそも不思議ちゃんを名乗る資格はないという疑惑も残りますね。だって不思議ちゃんが一番持ってはいけない意識って自意識でしょう。つまり、この主人公は自分が外からどう見られているかを気にする似非不思議ちゃんなんです。 で、この人は部屋の向かいにいる女性(シャルロット・ゲンズブール!)を好きになるんですが、その動機もしょぼくて、本当は彼女の友達が好きだったんだけど、ちょっとこの人にやさしくされたし、彼氏もいないらしいからもう好きになっちゃったっていう程度なんです。うわあ。現実的。不思議ちゃんの癖に夢がない。しかも、会社の女性をヤっちゃう夢とかも同時並行的にけっこう見てるわけですね。もうほんとダメ!顔以外全然可愛くないよ!この男は! とまあ、ひとしきり主人公をくさしといてなんですが、僕から見るとこの男は最早他人に見えないんですね。それくらい親近感を感じるんです(顔以外)。男の妄想ってこんなもんなんですよね。「女子の妄想は他人のこと、男子の妄想は自分のこと」と腐女子の吉木りさが言ってました。これは真理だと思うんです。男って女に比べてセックスがらみのことに関しては凄くリアルかつ生々しい願望を持つものなんです。だから、僕は森見登美彦の小説には納得できず、この映画は好きなんです。ラストのヘタレ感も素晴らしすぎる。 男の夢の持つファンシーさと泥臭さを奇妙に両立させたこの作品は、今後ミシェル・ゴンドリー監督の傑作として語り継がれるべきと感じます。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-08-04 21:58:11)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |