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山田風太郎ファンとしては、見る前から満足のいかない出来になることは予想していましたので、失望感はありませんでした。「忍法帖シリーズ」をいたずらに映像化しても、原作を越えることは、まず出来ないからです。
良かった点は、アクションシーンを盛り上げようと頑張っていた所で、作品の中の見せ場として成立していたと思います。CG多用で、最近のゲーム的な映像でしたが、メリハリがあり、楽しめました。 悪かった点は、構成と脚本だと思います。まず、見始めてから15分もの間、いわゆる「つかみ」となるアクションシーンがないこと。(ちなみに原作は、同じアクションシーンが1ページ目から描かれています)しかも、冒頭のオダギリジョーと仲間由紀江が出会うシーンは、お互いのキャラクターを見せる事も無く、ただ出会うだけというまるで工夫のないものでした。仲間由紀江を、「(一目ぼれするぐらい)美しい女性」に見せる演出すらなかった事に、拍子抜けすると共に、この映画に対する興味を早くもそがれてしまいました。そして、いつの間にか恋人同士になっている様子を見て、主人公二人に対する興味も急速に失われて行くのでした。 「主人公の男と女が出会えば、お互い愛し合う」「二人が引き離されれば、悲劇的なドラマになる」といった、製作者サイドのドラマに対する安直で甘い思い込みが、前面に押し出された脚本だったと言えるのではないでしょうか。 思いきって原作の一部分だけを使い、映画的に大胆に話をアレンジすべきだったと思います。少なくとも、オダギリジョーや仲間由紀江を生かしたキャラクターが生まれる余地があったのではないでしょうか。 【塚原新】さん [DVD(邦画)] 3点(2006-12-30 21:14:46)
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