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《ネタバレ》 予備知識なしで見ましたが、プロデュースも兼ねた渡辺謙の真剣さが伝わる力作だったと思います。何人かの方が指摘されているように、実際の病気や介護にたずさわった方から見れば、綺麗ごと過ぎるのかも知れません。私が思うに、この作品はアルツハイマー病のことをよく知らない人と、実際に病気にかかって苦しんでいる人やそれを支えている人たちの間に、位置しているのではないでしょうか。病気のことを知ってもらい、少しでも苦しんでいる人たちの助けになって欲しい、そんなメッセージが込められていると思います。
渡辺謙や製作者たちは、「映画」というやり方で、そのメッセージをなるべく多くの人に伝えるために、内容をある程度ソフトに(美化)し、またドラマティックな演出にしたのではないでしょうか。現実をそのままフィルムに収めて、ドキュメンタリー映画として上映しても、興味を持っている人たちしか見に来ない、というのが現状だと思いますから。本作は、この病気について興味を持ってない人たちに関心を持ってもらう、という役割の一端を充分担ったと思います。 映画の内容としては、やはり渡辺謙の熱演が見所だと思います。それに呼応するかのような樋口可南子の演技も力を感じるものであり、見事に夫婦として劇中に存在していたと思います。渡辺謙が奥さんに「毎日、迷惑掛けてごめん」と泣き叫ぶシーンが印象的で、心に残りました。病気になった人の苦しみを、自分なりに感じられたシーンです。 近年流行の、安直な製作姿勢で作られた「病気+恋愛+感動」ものの映画やテレビドラマの、稚拙さを浮き彫りにしたといえる一作ではないでしょうか。 【塚原新】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-12-31 22:56:53)
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