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《ネタバレ》 ボウリング・フォー・コロンバイン、華氏911とムーア監督の作品を見てきて、これが3作目。3作の中で最高傑作といえる。アメリカの保険制度の今がよくわかる。ひどいもんだ。日本はすぐアメリカのまねをしたがるが、これだけはまねしないことを切に願う。
監督はアメリカの仮想敵国であるキューバに患者を連れて視察、患者にキューバの医療を受けさせる。もちろんタダだ。患者たちは感謝しつつもアメリカとの違いに愕然とする。社会主義国家は民主主義国家に比べ何もかも劣っていると教育されてきただろうアメリカ人にとってこのシーンは相当ショックだろう。私はこの現実に涙を止めることが出来なかった。パンフレットにも「鼻っぱしの強いアメリカの批評家やジャーナリストの多くが、映画の最中に泣いたことを認めた。」との一文が掲載されていた。そうだろう、そうだろう。 監督の作品はドキュメンタリーという手法をとっているが、監督の主張が最も効果的に表現できるよう演出・編集がなされているという批判が一方ではある。それは事実だろう。劇中で紹介された良い医療制度の国にも医療問題はある。その辺りはあえて触れられていない。でもそれはこの映画にとっては大した問題ではない。もっと重要なことは「演出がなされているとはいえ、そこに映し出されている映像自体は全くの真実」ということなのだ。 パンフレットにはまた、デーブ・スペクターのコメントが載っていた。「確かにムーアの指摘通り、アメリカの医療保険制度には問題があってHMOはサイアクの状態だけど、アメリカの医療技術や製薬技術はナンバーワンなんですよ。映画ではフランスやキューバの医療が天国みたいに描かれているけど、ヨーロッパでも中東でも世界中のお金持ちはみんなアメリカで手術を受けたがるんです。きっとオサマ・ビンラディンだって、可能ならばアメリカで手術を受けたいと思うはずですよ。」確かにそうだろうが「お金持ちは」でしょ?ムーア監督が言いたいことはそういうことではない。医療技術や製薬技術が高いことと医療保険制度に問題があることとは別物だ。 繰り返しになるが、すごいドキュメンタリーだ(あえてドキュメンタリーと呼ばせてもらう)。 【MASS】さん [映画館(字幕)] 9点(2010-01-11 02:08:41)(良:1票)
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