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田中絹代が塀を乗り越えて矯正院から逃げるところが素晴らしい。この監督の粘っこさが、逆に外に広がる田園風景を爽やかに見せる。娘が街で不良にやられるシーンの粘っこさも、見事にいやらしい。男でもいい人はいるんだけどなあ、と文句を言いたくなることが、溝口映画を見てると思うことが多いが、この不良学生なんか表情がはっきりしてないだけに怖い。そして不良娘に身ぐるみ剥がされるところを移動で追っていく。その惨めさの追求の粘っこさ。そもそもの悪の古着屋のたたずまいの暗さも、どこか粘ついたものを持っている。戦後とはこんなにも暗かったのか。戦争が終わったという解放感はなかったのか。溝口にとって女性の被害はずっと継続してたってことか。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-01-27 10:11:40)
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