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《ネタバレ》 むかしスクリーンで観たときは気がつかなかったが、カット割りあるのね。気がついたのは3ヶ所、もっとあったかもしれない。鶏を絞める話題でフィリップが神経質になったところで教授の疑惑顔に移るとこ、犯人らが言い合ってる背後に教授が来たところで部屋に入ってきた家政婦に移るとこ(このあと家政婦が部屋の片づけを始めるのがヒッチらしい名シーン)、カメラが無人の家具を順に眺めながら犯行の再現をし(これは舞台劇では表現できまい)ブランドンがポケットに手を忍ばせたところで教授に移るとこ。この3ヶ所ではっきりカットを替えていた。どこも緊張の場でその効果は生きてるが、どうしてもカット内でつなげられないというとこでもなく、パンやズームアップ使えば似た効果は出せそうだ。でもそれだと品はなくなるな。映画をワンカットに収めるという趣向より、どうしてもカットを割りたいところでは割る、という判断を優先したのか(単に何度撮り直してもトチる俳優がいたってだけだったりして)、気になるところ。それよりも以前には気がつかなかったことのほうに驚いた。人間、朝起きてから寝るまで毎日ワンカットで世界を見ているわけだが、もしその最中にカット割りがあったら相当びっくりするだろう。でも映像世界では「ワンカット映画」と思い込んで観てたら、けっこう気づかない。今回だってアレッと思ったあと何度か繰り返してみて(上映中の時間を左右するのは映画の神を冒涜する気がするもんだがあえて)、やっと速いパンではないと得心できた。映画って普通の視界とは全然心理的に違う心構えで観てるんだなあ、と思った。その趣向を離れたところでは、ラスト、外の正常な世界の音が流れ込んでくる効果がいい。それは犯人が軽蔑してやまなかった世界だが、それが彼らを裁きにこれからやってくるのだ。
【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-07-17 12:13:44)(良:1票)
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