| 作品情報
レビュー情報
純粋殺人者って言うんですか、実在した殺人狂なんだけど、彼なりの心得がちゃんとあって、同じ手口は続けない、首を絞めた次はピストルとか。場所も変えていく、そうじゃないとつまらないから。なんか分かるのは、関わりが周囲に知られている者には手を出さない。用心のためもあるんだろうが、彼の「心得」の一つ。憎い相手でも手を出さず、親切に車の修理を見てやろうとした行きずりの他人で代用する。ここらへんの(彼ならではの)世間との緩やかな関わりが、なんか分かる。世間を代表させた「他人」を一人ずつ殺しているんだろう。母を殺した手段をしばしば言い間違う、何通りもの手段によって、何通りもの殺しが繰り返されていく。そして究極の孤独へ向かって突っ走っていくヘンリー、おそらく孤独というものを理解できずに。殺人ってのは、濃密な人間関係とそれからの解放を同時に果たす、あと腐れなくサッパリと。まだ多少人間味のあるオーティスを主人公にして、ただのチンピラがどのように「開発」されていったかを辿るという手もあったが、この映画は、この世には「われわれ」とハッキリ断絶している人間がいるんだ、ということの凄味で勝負した作品なんだろう。
【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-08-29 09:28:17)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |