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《ネタバレ》 桜のタヲヤメぶりと、活火山のマスラヲぶりを順に見せて、これぞ日本。そういうアイテムの一つとして「侍の娘」ってのもあるわけだ。日本とヨーロッパの分かりやすい混淆。ジャズが流れる酒場に、新内流しのような女を立たせて三味線を響かせる。洋酒と日本酒。この分かりやすさがちょっと気持ち悪いけど、一番気持ち悪いのが話の本筋。小杉勇はヨーロッパの自由主義を捨て、妹のような娘と結婚し、満洲の開拓民になる、という展開に、作者が意図してなくても、時代のグロテスクがハッキリと記録されていたのではないか。国粋ということを煮詰めていけば、外部への絶対的な拒否になり、それはついには近親相姦的な歪みを抱えることになる。妹のような娘と結婚するのは、国粋の必然なのだ。もっとも山岳映画人の興味をひいたのは、同盟国としてよりも火山国としての日本だった。地震のある国。心理的背景はどうであれ、原節子と小杉勇の山のシーンは充実しており、「侍の娘の矜持」なんていう取ってつけたような解釈を越えた力が、画面にみなぎっていたように思う。
【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2009-07-05 12:02:32)
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